注目ポイント
本研究では、臨床医および患者への教育、電子カルテ(EHR)の修正、ならびに薬剤師向け電子フラグを含む多層的なステュワードシップ・アプローチが、直接経口抗凝固薬(DOACs)を処方されている患者における不要な抗血小板薬使用を効果的に減少させることが示された。この介入は、Veterans Health Administration(VHA)各施設の高リスク集団における併用抗血栓療法を有意に減少させ、とくに安定冠動脈疾患患者で最も大きな効果を示した。
研究背景
直接経口抗凝固薬(DOACs)は、血栓塞栓症の予防および治療における標準治療となっている。しかし、明確な適応がないにもかかわらず抗血小板療法を併用すると、追加の虚血性利益を伴わないまま、重大な出血リスクを増大させる可能性がある。ガイドラインで推奨されているにもかかわらず、DOACs使用患者では抗血小板薬が過剰処方されることが多く、抗血栓療法を最適化し患者安全性を高めるための臨床的ニーズが残されている。とくに外来診療において、このような過剰使用に対処する拡張性のあるステュワードシップ介入は十分に検討されていない。
研究デザイン
本質改善研究は、2020年7月から2023年7月までの後ろ向き多期間比較中断時系列デザインを用いた。対象は、Veterans Health Administrationネットワーク全体でDOACsを処方された成人外来患者であった。7つの介入施設では2段階の多要素ステュワードシップ・プログラムを実施し、128のVHA施設を対照群とした。
第1段階(9か月)では、臨床医および患者を対象とした教育的介入に加え、処方実務を改善することを目的としたEHR変更を実施した。第2段階(16か月)では、既存の臨床ダッシュボードに統合された薬剤師向け電子フラグを導入し、抗血小板薬を同時処方されている患者を特定した。主要評価項目は、施設レベルにおけるDOACs治療患者のうち抗血小板療法も処方されている患者の月間割合であった。
主な結果
DOACs使用患者におけるベースラインの抗血小板薬使用率は、介入施設で26.1%(27,588例、女性2.6%)、対照施設で30.1%(253,085例、女性2.6%)であった。介入後、抗血小板薬使用は介入施設でより速やかに減少し、対照群と比較した6か月あたりの絶対減少は0.58パーセントポイントであった(95%CI、-0.95~-0.22)。
初期の教育介入とEHR修正により、6か月ごとに0.29パーセントポイントの絶対減少が得られ、さらに薬剤師向け電子フラグの追加により、追加で0.29パーセントポイントの減少が認められた。したがって、これらの介入には加算的効果があった。
サブグループ解析では、安定冠動脈疾患患者で最も顕著な効果が認められ、6か月あたりの絶対減少は2.1パーセントポイントであった(95%CI、-3.0~-1.2)。これは、ベースライン有病率に対して5.5%の追加的な低下に相当した。このサブグループは、抗血小板薬のdeimplementation(不適切使用の中止)に適した集団として同定された。
DOACsで抗凝固療法を受けている患者における不要な抗血小板薬使用は出血リスクの増加と関連しているため、併用療法の減少は臨床的に重要である。
専門家コメント
本研究は、教育、医療情報技術の強化、臨床薬剤師の関与を組み合わせた多層的ステュワードシップ介入が、エビデンスに基づく処方を最適化するうえで有用であることを示している。初期介入に電子アラートを追加することで加算効果が得られたことは、定着した処方行動を変えるために、持続的かつ多面的なアプローチが必要であることを示唆する。
対象は主として男性患者が占めるVHA外来に限定されているものの、結果は同様の統合型医療システムにも一般化可能と考えられる。今後の研究では、deimplementation後の出血イベントや虚血性合併症など、患者中心のアウトカムを評価することが望まれる。さらに、臨床意思決定支援ツールとの統合や、他の高リスク集団への展開により、抗血栓療法の安全性を一層向上できる可能性がある。
結論
DOACs治療を受ける患者における抗血小板薬の適切なdeimplementationは、教育、電子カルテ最適化、ならびに薬剤師主導の特定戦略を含む構造化された抗血栓ステュワードシップにより達成可能である。このような多層的介入は実施可能であり、潜在的に有害な併用療法を有意に減少させることができる。本Veterans Health Administrationの大規模イニシアチブは、その好例である。
資金提供および臨床試験登録
本研究は、質改善イニシアチブとしてVeterans Health Administrationシステム内で実施された。外部資金提供および臨床試験登録に関する情報は報告されていない。
参考文献
1. Kurlander JE, Parra D, Moore V, et al. Multilevel Stewardship Intervention for Use of Anticoagulation-Antiplatelet Therapy. JAMA Internal Medicine. 2026; PMID: 42329643.
2. January CT, et al. 2019 AHA/ACC/HRS Focused Update on Antithrombotic Therapy for Atrial Fibrillation. Circulation. 2019.
3. Lopes RD, et al. Risks of Combined Antiplatelet and Anticoagulant Therapy. Circ Cardiovasc Qual Outcomes. 2020.

