背景
大気汚染は、肥満や代謝症候群を含む代謝疾患の重要な環境リスク要因として認識されるようになっています。以前の研究では、黒炭(BC)、微小粒子状物質(PM2.5)、二酸化窒素(NO2)などの汚染物質への曝露が心血管系と代謝機能障害と関連していることが示されています。しかし、高齢者における大気汚染の体組成に対する長期的な影響については、まだ十分に調査されていません。本研究では、このギャップを埋めるために、長期的な大気汚染曝露と総脂肪量、内臓脂肪量、筋肉量の変化との関係を3年間にわたり検討しました。
研究デザイン
本研究には、スペインのPREDIMED-Plus試験から54~75歳(女性48%)の高齢者1,454人が参加しました。参加者は登録時(2013-2016年)および1年目、3年目の追跡時にデュアルエネルギーX線吸収測定法(DXA)スキャンを受けました。参加者の基準時の居住地に基づいて、100メートルの解像度で年間の大気汚染曝露が割り当てられました。線形混合効果回帰モデルと曝露と時間の相互作用項を使用して、体組成との長期的な関連を検討しました。性別、年齢、身体活動レベルによる層別分析も実施されました。
主要な知見
基準時点では、黒炭(BC)の1×10-5/mの増加は、体脂肪率が1.01%(95% CI 0.31-1.71)高くなり、筋肉量のパーセンテージが-0.97%(95% CI -1.64 to -0.30)低くなり、筋肉量が-0.74 kg(95% CI -1.37 to -0.12)低下することと関連していました。PM2.5とNO2についても、体脂肪率と筋肉量のパーセンテージとの類似の関係が観察されました。これらの関連は、BCとPM2.5について1年目と3年目の追跡でも持続しました。年齢層別分析では、内臓脂肪量との関連は65歳未満の参加者にのみ有意でした。性別や身体活動レベルによる有意な違いは見られませんでした。
専門家のコメント
本研究の結果は、長期的な大気汚染が特に代謝的に脆弱な高齢者の体組成に悪影響を及ぼすことを強調しています。これらの関連が3年間持続していることから、大気汚染が慢性の代謝機能障害に寄与している可能性があります。内臓脂肪量に対する年齢特異的な影響は、若い高齢者に対する対策の必要性を示唆しています。研究の限界には、観察研究であることから因果関係を推論できないこと、残存の混雑因子の可能性が含まれます。ただし、高解像度の曝露評価と長期的な追跡調査は、研究結果を強化しています。
結論
高齢者における代謝症候群を有する人々の体組成変化と大気汚染の長期的な曝露が悪影響に関連していることが示されました。これは、時間とともに脂肪蓄積と筋肉量の減少を促進します。これらの知見は、脆弱な集団での大気汚染曝露を軽減するための公衆衛生戦略を呼びかけています。今後の研究では、機序的な経路とこれらの影響を打ち消す潜在的な介入策を探索する必要があります。
資金提供と登録
本研究はPREDIMED-Plus試験の一部でした。資金提供の詳細と臨床試験の登録情報は、抄録には記載されていません。

