糖尿病関連足潰瘍のオフローディング治療はどれが環境にやさしいか:ライフサイクルアセスメント

はじめに

糖尿病関連足潰瘍(diabetes-related foot ulcers, DFUs)は、世界中の糖尿病患者にとって重大な負担であり、感染症や切断などの合併症につながることが少なくない。オフローディング、すなわち足底潰瘍部位からの荷重を分散・除去することは、創傷治癒を促進し、さらなる損傷を防ぐうえで重要である。オフローディングの方法には、トータルコンタクトキャスト(total contact cast, TCC)、非除去型ウォーカー、除去型ウォーカーなどがある。臨床的有効性については広く研究されてきた一方で、これらの治療経路が環境に及ぼす影響にはほとんど注意が払われてこなかった。医療制度がカーボンフットプリントの削減と持続可能性の向上を目指す中、治療選択がもたらす生態学的影響を理解することは極めて重要である。

本稿では、糖尿病に起因する足底足潰瘍患者に対する、エビデンスに基づく3つのオフローディング・ケア経路の環境負荷を比較した包括的ライフサイクルアセスメント(life-cycle assessment, LCA)の結果を報告する。

方法

本研究では、ISO規格に準拠したボトムアップ型のプロセスベース・ライフサイクルアセスメントを用い、初診から創傷治癒までの環境影響を定量化した。評価した3つのオフローディング経路は以下のとおりである。

  • トータルコンタクトキャスト(TCC): 患者ごとに作製される非除去型キャストで、全周性のオフローディングを提供するが、交換または調整のための受診を要する。
  • 非除去型ウォーカー: 本来は除去可能な専用ブーツを改変し、実質的に取り外せない状態にした装具であり、調整のための受診を要する。
  • 除去型ウォーカー: 患者が取り外し可能な標準的ブーツで、受診回数は少ない一方、治癒期間が長くなる場合がある。

資材の製造、発生する廃棄物、患者および医療スタッフの移動、ケア中のエネルギー消費を含む、すべての資源投入・産出に関するインベントリーデータを収集した。LCAでは、環境入力データとしてSimaProソフトウェアおよびEcoinvent 3.10データベースを用い、ReCiPe-2016のミッドポイントおよびエンドポイント影響評価法を適用した。

100万回の反復を伴うモンテカルロシミュレーションにより、各ケア経路のパラメータの変動性と不確実性をモデル化し、環境影響を頑健に推定した。

結果

環境影響は、地球温暖化係数、資源枯渇、毒性など18のミッドポイントカテゴリ、ならびに人の健康および生態系への損害を含む5つのエンドポイントカテゴリで評価された。

地球温暖化係数(kg CO2換算):

  • TCC経路:平均141 kg CO2-eq(標準偏差88;95%予測区間 67~377)
  • 非除去型ウォーカー経路:平均108 kg CO2-eq(標準偏差62;95%予測区間 59~276)
  • 除去型ウォーカー経路:平均90 kg CO2-eq(標準偏差57;95%予測区間 36~244)

すべての影響カテゴリにおいて、除去型ウォーカー経路が最も低い環境負荷を示した。最も高い影響は一貫してトータルコンタクトキャスト治療に関連していた。

いずれの経路でも、環境負荷の大部分は外来受診に伴う患者の往復移動に由来し、各経路におけるCO2換算排出量の59~78%を占めていた。除去型ウォーカーは、治癒期間がしばしば長いにもかかわらず受診回数が少ないため、この移動由来の影響が低かった。

TCC経路では、キャストの交換または調整を複数回要するため、資材使用量と受診回数が増加し、その結果、環境負荷が増大した。

考察

本研究の結果は、糖尿病足潰瘍管理に環境持続可能性を組み込むうえで重要な視点を示している。TCCはオフローディング効果の点で従来のゴールドスタンダードとされているが、資源使用量と移動負荷が大きいため環境影響も高い。したがって、臨床アウトカムとともに生態学的観点を重視する場合には、代替法がより望ましい可能性がある。

除去型ウォーカー経路の利点は、主として交換を要しない単一装具の使用と受診回数の削減にあり、その結果として総炭素排出量が低減される。ただし、臨床医は、こうした環境上の利点と、治癒時間が長くなる可能性、および患者個々の臨床状況とのバランスを取る必要がある。

本研究は、外来糖尿病足ケアにおける患者移動の環境コストの大きさを示しており、移動負担を軽減するための、より地域密着型のケアや遠隔医療の選択肢が求められていることを裏付ける。

臨床実践および政策への示唆

臨床ガイドラインに環境影響評価を組み込むことで、患者アウトカムを損なうことなく低炭素なオフローディング装具の選択を促進できる可能性がある。医療提供者および政策立案者は、地域ベースのケアモデルの導入や、装具の適切な使用と治癒期間の最適化を目的とした患者教育の強化など、移動由来排出を最小化する方策を検討すべきである。

さらに、製造業者は、リサイクル可能な材料の採用や製造工程の簡素化を通じて、持続可能性を考慮したオフローディング装具の設計を進めることが期待される。

結論

糖尿病関連足底足潰瘍に対するオフローディング治療の中では、除去型ウォーカー経路が最も低い環境影響を示した。これは主として、受診回数が少なく、装具交換を必要としないことによる。移動由来排出の削減は、糖尿病足ケアの持続可能性を高めるうえで重要な機会である。臨床意思決定に環境配慮を統合することは、患者ケアと医療の生態学的フットプリントの双方を改善する可能性を有する。

糖尿病足潰瘍に関する補足説明

糖尿病足潰瘍は、主として足底に生じる皮膚障害であり、神経障害、血流不全、機械的ストレスによって発症する。効果的なオフローディングは、潰瘍部位から荷重を分散し、治癒を促進する。ケア経路は世界各地で異なり、利用可能な資源、患者の嗜好、医療インフラの違いによって影響を受ける。

世界の保健医療システムが気候変動の課題に直面する中、環境持続可能性はますます緊急性の高い優先課題となっている。ライフサイクルアセスメントは、医療介入に伴う見えにくい生態学的コストを可視化し、より情報に基づいた持続可能な医療提供を支援する。

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