頸部VEMPと後半規管vHITは本当に同じ機能を見ているのか?―1770耳の解析から見えた前庭診断の新たな示唆

はじめに

前庭系は、平衡感覚および空間認知において極めて重要であり、半規管と耳石器からの複雑な感覚入力により構成される。下前庭神経は後半規管および球形嚢を支配しており、臨床ではそれぞれ後半規管 video head impulse test(PC-vHIT)および頸部前庭誘発筋電位(cervical vestibular evoked myogenic potential, cVEMP)によって日常的に評価される。従来、これらの検査は単一の下前庭機能単位を補完的に評価するものと考えられてきた。しかし、特に幅広い臨床集団における両検査の一致性はなお不明である。

本稿では、1770耳を対象とした後ろ向き解析の結果を概説し、cVEMP と PC-vHIT の一致度を検討するとともに、その解離が示唆する臨床的・生理学的意義を考察する。さらに、これらの所見が診断アプローチおよび前庭反射経路の理解にどのように寄与するかを検討する。

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