小児入院医療における社会的リスク・スクリーニングと紹介の実態:全国調査

小児入院医療における社会的リスク・スクリーニングと紹介の実態:全国調査

注目ポイント

– 小児を診療する病院の約3分の2で、入院中に社会的リスクのスクリーニングが実施されており、実施者としては看護師が最も多かった。
– 使用するスクリーニング方法は、評価項目や対象領域を含めて大きく異なっていた。最も多く確認されていたのは食料不安定性であり、法的ニーズはほとんど確認されていなかった。
– 紹介の仕組みは主として医療ソーシャルワークへのコンサルテーションと印刷資料に依存しており、地域 ভিত্তの組織との連携は限定的であった。
– 紹介後の追跡や医療利用アウトカムとの関連を把握するデータ管理は不十分であり、人的資源の制約が体系的スクリーニング導入の大きな障壁となっていた。

研究背景

健康の社会的決定要因(Social Determinants of Health, SDOH)は、小児の健康転帰に大きな影響を及ぼす。入院は、食料不安定性、住居不安定性、養育者ストレスなど、健康格差に寄与する社会的リスクを把握し対応するうえで重要な機会である。近年、専門学会は、迅速な介入につなげるために、入院時の社会的リスクに対する日常的なスクリーニングを推奨している。しかし、既存の文献は主として小児病院を対象としており、多くの小児が受診する地域病院が除外されることが多い。また、実際のスクリーニングおよび紹介プロセスに関する包括的なデータも不足している。小児入院患者に対する社会的ケアを最適化するためには、全国規模で現在の実践を把握し、政策立案と資源配分に役立てることが不可欠である。

研究デザイン

本横断研究では、Pediatric Research in Inpatient Settings Network を通じて、2023年8月から2023年11月にかけて病院の臨床リーダーを対象に調査を実施した。調査では、米国各地の小児を診療する病院における社会的リスクのスクリーニングおよび紹介の実践を評価した。各施設につき1名の回答者が、スクリーニングの実施状況、対象集団、使用ツール、紹介プロセス、データ追跡の仕組み、さらに入院小児医療における社会的ケア統合の障壁と促進要因について報告した。記述統計により回答を要約した。

主要結果

全体で80.2%(77/96)の病院が調査を完了した。注目すべきことに、66.7%の病院が何らかの入院中社会的リスク・スクリーニングを実施していると回答した。スクリーニングは看護師が最も頻繁に担当しており、入院中の社会的リスク評価における看護師の中心的役割が示された。

スクリーニング手法には大きなばらつきが認められた。妥当性が確認された公表済みスクリーニングツールを使用していた病院は21.9%にとどまり、12.5%は院内で作成した質問に依拠していた。これは、測定方法が標準化されていない状況を反映している。評価される領域にも偏りがあり、食料不安定性は91.9%の病院でスクリーニングされており、この重要なニーズに対する認識の高さが示された。一方で、法的ニーズのスクリーニングは行われておらず、小児の健康に影響しうるより広範な社会的リスクへの対応にギャップがあることが示唆された。

紹介経路については、ほぼすべての病院が院内(98.4%)および院外(96.8%)の資源へ患者をつなぐ仕組みを有していた。主な紹介方法は医療ソーシャルワークへのコンサルテーション(96.5%)であり、印刷された教育資料(54.4%)が補完的に用いられていた。しかし、地域 ভিত্তの組織と正式な提携関係を有する病院は10%未満であり、病院ベースのケアと地域資源との統合が限られていることが示された。

データ追跡の実施状況は不十分であった。スクリーニングを実施している病院の45%未満しか紹介結果を追跡する仕組みを維持しておらず、社会的ケア介入と医療利用指標を結び付けて収集している施設はわずか2.5%であった。この不足は、質改善の取り組みやプログラム効果の評価を妨げる。

人的資源の制約は、継続的な社会的リスク・スクリーニングを導入するうえで最も頻繁に挙げられた障壁であり、病院が直面する資源不足を浮き彫りにした。

専門家コメント

スクリーニング方法と評価領域に大きなばらつきがあることは、入院小児診療における社会的リスク統合がまだ初期段階にあることを示している。食料不安定性のスクリーニングは、小児の健康との関連を示す強固なエビデンスを背景に普及してきたが、法的ニーズのスクリーニングが欠如していることは、社会的決定要因の全体像を捉える、より包括的なアプローチの必要性を示唆する。

医療ソーシャルワークの関与は、問題の把握とサービスへの接続を橋渡しするうえで重要である。しかし、地域との積極的な連携を伴わずに印刷資料の配布のみに依存することは、紹介の有効性を制限する可能性がある。データ追跡システムが乏しいことは、社会的ケアの影響を体系的に監視し改善する機会を逸していることを意味する。

人的資源の障壁を踏まえると、政策的取り組みは、専任リソースの配分と、拡張可能で標準化されたスクリーニング・プロトコルの開発に重点を置くべきである。先行研究では、入院環境における養育者主導および看護師主導の社会的リスク・スクリーニングの実現可能性と受容性が示されているが、より広範な実装には、施設レベルのコミットメントと多職種連携が必要である。

結論

本全国調査は、多くの小児入院診療の現場で社会的リスク・スクリーニングが行われている一方で、スクリーニング領域、ツール、紹介実践、フォローアップデータ収集には大きな不均一性が存在することを示した。入院中の子どもに対する公平な社会的ケアを前進させるためには、標準化されたスクリーニング方針、転帰を追跡するための強化されたデータ基盤、ならびに地域基盤組織との連携強化が急務である。持続可能な社会的リスク・スクリーニングおよび紹介プログラムを実装するうえで、人的資源と資源配分の障壁への対応が極めて重要となる。

資金提供およびClinicalTrials.gov

原著研究では、外部資金源または臨床試験登録について報告されていない。

参考文献

Leary JC, Tran N, Brittan MS, et al. Social Risk Screening and Referrals in the Pediatric Inpatient Setting. Pediatrics. 2026 Oct 16;PMID: 42880757.
Garg A, et al. Screening for Social Determinants of Health in Pediatrics: A Review of Current Practices and Recommendations. Pediatrics. 2024;153(2):e20230412.
Gottlieb LM, et al. Integrating Social Care into the Delivery of Health Care: Moving Upstream to Improve the Nation’s Health. NAM Perspectives. 2020;
Hill CV, et al. Implementation of the Social Determinants of Health Screening and Referral Program in Pediatric Inpatient Units. J Hosp Med. 2023;18(1):12-18.

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