序論
白内障手術後に最適な屈折成績を得るためには、眼内レンズ(Intraocular Lens, IOL)の度数計算を正確に行うことが極めて重要である。従来の方法は主として標準角膜曲率測定(standard keratometry, K)に依存しており、前面角膜曲率に基づいて角膜屈折力を推定し、後面角膜との関係は一定であると仮定していた。しかし、IOLMaster 700 などの眼科生体計測技術の進歩により、前面および後面角膜曲率の両方を組み込む total keratometry(TK)が導入され、予測精度の向上が期待されている。
TK には有望性がある一方で、近年のエビデンスでは、白内障手術後の屈折成績は角膜後面/前面半径比(posterior-to-anterior radius ratio, PAR)の個人差によって影響を受ける可能性が示されている。この指標は、後面角膜曲率半径と前面角膜曲率半径の解剖学的比を反映し、K と TK の差が IOL 度数予測精度にどのような影響を及ぼすかを規定しうる。