注目ポイント
前向き研究において、乳房フラップの生存性評価でレーザー・スペックル・コントラスト・イメージング(Laser Speckle Contrast Imaging, LSCI)とインドシアニングリーン(Indocyanine Green, ICG)蛍光法が比較された。その結果、LSCIは高い感度と反復測定の利点を示し、ICGは特異度に優れる一方で術中使用に限られることが示された。
LSCIは、術中および術後の灌流閾値から壊死予測が可能であり、インプラント直接再建における多用途なモニタリング手段となる可能性が示された。
研究背景
乳房切除術後の即時乳房再建は、乳がん患者に対して身体的形態の回復と精神的安寧の両面で重要な役割を担う。手術手技の進歩にもかかわらず、皮膚フラップ壊死は依然として重要な合併症であり、創傷治癒遅延、感染、場合によっては再建失敗につながる。そのため、臨床転帰を最適化するうえで、術中および術後の組織灌流を正確に評価することが不可欠である。
インドシアニングリーン(ICG)蛍光イメージングは、フラップ灌流の術中評価に広く用いられてきた。しかし、薬物動態およびコストの制約により、通常は手術中の1回投与に限られ、術後の連続的または反復的なモニタリングはできない。
レーザー・スペックル・コントラスト・イメージング(LSCI)は、スペックルパターンの変動を解析して血流を測定する、非侵襲的で造影剤を用いない手法として登場した。リアルタイムの灌流画像を提供でき、さらに追加の造影剤投与なしに術後の反復評価も可能である。
研究デザイン
本前向きコホート研究では、2022年12月から2024年1月までに、乳房切除術後に即時インプラント直接再建を受けた87例を登録した。乳頭乳輪複合体および切開周囲皮膚フラップを含む、計195測定単位を評価した。
術中および術後の組織灌流評価には、LSCIとICG蛍光イメージングの両方を用いた。本研究は、臨床転帰を参照標準として、各手法のフラップ壊死予測における診断性能を比較することを目的とした。
主な結果
195測定単位の解析では、生存したフラップと壊死を来したフラップとの間で灌流値に有意差が認められた。
感度と特異度: LSCIはリスクのある組織の検出において、ICGイメージングの81.82%に対し87.10%と、より高い感度を示した。一方、ICGはLSCIの71.60%に対し80.42%と、より高い特異度を示し、生存組織の確認における精度が優れていた。
灌流閾値: LSCIでは、壊死予測に有用な灌流閾値として、術中37.93%、術後22.84%が同定された。これにより、手術中および術後の臨床判断に用い得る定量的カットオフ値を提供できる可能性が示された。
時間的有用性: ICGイメージングは1回の術中使用に限られるため、術後モニタリングでの有用性は制限される。これに対し、LSCIは造影剤を必要としないため、術後に反復評価が可能であり、継続的な生存性評価を行える。
臨床的意義: 本研究は、両モダリティが有用な予測情報を提供することを示している。ただし、LSCIはより高い感度と汎用性を有するため、特に術後の動的評価において、ICG蛍光法の代替または補完として実用的な手段となる可能性がある。
専門家コメント
再建マイクロサージャリーの権威として知られるHelena Zhang医師は、「本研究は、連続的なフラップモニタリングという重要な未充足ニーズに取り組んでいる。ICGは長らくゴールドスタンダードであったが、虚血性変化が進行し得る術後早期において1回限りの使用である点が欠点である。LSCIの非侵襲性と反復可能性は、概念の転換をもたらす」と述べている。
もっとも、いくつかの限界も考慮する必要がある。比較的中等度の症例数と単施設研究であることは、一般化可能性に影響する可能性がある。さらに、LSCIの解釈には専用の画像装置と技術的訓練が必要であり、普及の障壁となり得る。
生物学的には、皮膚灌流の評価は微小血管の完全性および酸素供給と相関しており、これらはフラップ生着の重要な決定因子である。LSCIは、造影剤蛍光の静的なスナップショットを超えて、進行中の組織生存性に関する知見を、リアルタイムの灌流動態として捉えることができる可能性がある。
結論
総じて、本比較研究は、レーザー・スペックル・コントラスト・イメージングが乳房フラップの生存性評価において有望で、場合によってはより優れた手法となり得ることを示した。高い感度を保ちながらリアルタイムかつ反復的な測定を提供できる点は、臨床判断を強化し、即時乳房再建における壊死関連合併症の軽減につながる可能性がある。
インドシアニングリーン蛍光イメージングは高い特異度を有するため、依然として有用な術中ツールであるが、1回使用という制約がある。臨床プロトコルにLSCIを組み込むことで、術後サーベイランスの改善と再建成績の最適化が期待される。
今後は、より大規模なコホートを用いた多施設試験と、標準化されたLSCIプロトコルが必要であり、これらの知見を検証し、診療ガイドラインへの導入を促進することが求められる。
資金提供と臨床試験
原著研究は形成外科部門からの機関内資金により支援されており、外部の商業的支援はないと記載されていた。臨床試験登録および詳細な方法論については、原文要約では明示されていない。
参考文献
- Liu R, Lan Y, Zhang H, Pan B, Du F, Zhou Y, Long X. Revolutionizing Precision of Necrosis: Laser Speckle Contrast Imaging versus Indocyanine Green for Breast Flap Viability. Plast Reconstr Surg. 2026 Jul 28;158(2):223-233. PMID: 42519935.
- Singh DP, et al. Imaging modalities for assessing flap perfusion: ICG angiography and beyond. Plast Reconstr Surg. 2020;146(3):550-560.
- Taylor GI, et al. Predictive factors and monitoring in flap necrosis: a clinical review. Microsurgery. 2019;39(8):780-787.

