注目点
本前向き臨床研究では、従来の透視下気管支鏡検査とロボット支援気管支鏡検査(Robotic-Assisted Bronchoscopy, RAB)における放射線被曝の差を評価した。
Cアームベースのトモシンセシス(C-arm-based tomosynthesis, CABT)を用いたロボット支援気管支鏡検査では、従来の気管支鏡検査または標準Cアーム透視を用いるRABと比較して、気管支鏡実施者の放射線被曝線量が有意に高かった。
補助スタッフの放射線被曝は、すべての手技モダリティを通じて最小限であった。
BMIが35を超えるなどの患者因子は、手技中の放射線線量指標を有意に増加させた。
研究背景
気管支鏡検査は肺診断に不可欠であり、特に末梢肺結節の生検において重要である。従来の気管支鏡検査ではしばしば透視誘導が用いられ、気管支鏡医およびスタッフは電離放射線に被曝する。近年は、病変局在の精度向上と診断率の改善を目的としたロボット支援気管支鏡プラットフォームが導入されており、ナビゲーション最適化のためにトモシンセシスを含む高度画像モダリティがしばしば用いられる。しかし、従来法とロボット支援法の放射線安全性を比較したデータは限られており、特に追加画像に伴う術者被曝増加の可能性については十分に検討されていない。
研究デザイン
本単施設前向き研究では、透視下で実施された54件の気管支鏡検査における放射線線量を解析した。内訳は、従来の気管支鏡検査15件、ロボット支援気管支鏡検査(RAB)39件であった。RAB症例は、Cアームベースのトモシンセシス(CABT; n=27)を使用した群と、標準Cアーム透視(CF; n=12)を使用した群に分けられた。放射線被曝は、国際放射線防護委員会(International Commission on Radiological Protection, ICRP)および米国放射線防護審議会(National Council on Radiation Protection and Measurements, NCRP)の指針に基づいて測定され、甲状腺カラー下の術者皮膚線量、ならびに看護師、麻酔、病理、技師スタッフの被曝線量に着目した。さらに、BMI、結節の特徴、手技時間などの患者・手技変数も記録した。主要評価項目は、3群間における1症例あたりの術者放射線被曝であった。
主要所見
CABTを用いたRABにおける総放射線被曝の中央値は1症例あたり0.237 mSvであり、従来の気管支鏡検査(0.065 mSv)およびCFを用いたRAB(0.02 mSv)よりも有意に高かった(p=0.025)。従来の気管支鏡検査とCFを用いたRABの間には統計学的有意差は認められず(p=0.33)、標準透視を用いるロボット支援気管支鏡検査では、従来法と比べて放射線被曝が増加しないことが示された。
甲状腺カラー下の術者皮膚線量は、CABTを用いたRABで0.0022 mSv/minと著明に増加した(p=0.007)が、従来法およびCFを用いたRABでは被曝はごくわずかであった。補助スタッフの放射線線量は最小限であり、いずれの手技間でも有意差は認められなかった。
患者関連因子のうち、BMIが35を超える場合は、1分あたりのDose-Area Product(DAP)が有意に高値であった(5.1 Gy·cm2、p=0.0067)。これは、透視下手技における放射線被曝に対する患者体格の影響を示している。結節径、CTパターン、病変部位などの他の因子は、放射線線量に影響しなかった。
専門家コメント
ロボット支援気管支鏡検査の普及が進む中で、本研究は重要な安全性上の懸念に対して厳密な前向き評価を行っている。RABは病変への到達性と手技の再現性を改善する一方、トモシンセシスを用いた高度画像は術者の放射線線量を大幅に増加させる可能性がある。この結果は、診断上の利益と職業被曝のリスクとのバランスを取り、線量最適化の原則を遵守する必要性を強調している。
標準透視を用いるRABで線量増加が認められなかったことは、トモシンセシスを用いないロボットプラットフォームを導入する施設にとって安心材料となり得る。しかし、CABTに伴う被曝負荷の増大を踏まえると、遮蔽の強化、プロトコルの修正、あるいは規制指針に沿った年間実施件数の制限などの防護策を検討すべきである。
本研究の限界として、単施設デザインであること、ならびに症例数が比較的少ないこと、特にRAB CFサブグループで症例数が限られていたことが挙げられる。長期臨床転帰との関連や多施設研究により、これらの知見はさらに検証される必要がある。
結論
本前向き研究は、Cアームベースのトモシンセシスを用いるロボット支援気管支鏡検査では、従来の気管支鏡検査または標準透視を用いるロボット支援気管支鏡検査と比べて、気管支鏡医への放射線被曝が著明に増加することを示した。術者およびスタッフの安全確保は最優先であり、厳格な放射線防護対策と規制遵守が必要である。標準透視誘導下のロボット支援気管支鏡検査は、従来法を上回る放射線線量を増加させず、安全な導入を支持する。放射線線量に影響するBMIなどの患者因子を考慮することも、手技計画において重要である。
今後の研究では、診断能を維持しつつ被曝を最小化する画像プロトコルの最適化に加え、気管支鏡技術の進歩に伴う職業被曝動向の継続的な監視が求められる。
資金提供および臨床試験情報
Ravikumar らによる参考研究は、2026年7月に Chest に掲載された。利用可能な抜粋内では、資金提供 स्रोतおよび試験登録の詳細は明記されていなかった。

