病態で失われる上皮硫化物がレドックス・プロテオームを再編し、バレット食道を誘導する

概要

バレット食道(Barrett’s esophagus)は、食道下部の正常な扁平上皮が、腸上皮または胃上皮により近い円柱上皮に置き換わる病態である。通常は、慢性胃食道逆流症(Gastroesophageal Reflux Disease, GERD)の経過中に発症し、胃酸や胆汁への反復曝露により、時間をかけて食道粘膜が障害される。本研究は、上皮における硫化物シグナルの低下が、炎症や逆流の単なる随伴現象ではなく、食道のレドックス環境を再構築し、バレット食道にみられる化生変化を駆動する中核的事象であることを示した。

研究者らは、タンパク質パースルフィド化(protein persulfidation)に着目した。これはしばしば PSSH と略され、硫化水素関連の硫黄基がタンパク質のシステイン残基に付加される可逆的な化学修飾である。この修飾は、タンパク質を酸化障害から保護し、酵素活性の調節にも関与しうる。健常組織では、パースルフィド化は正常なレドックス平衡の一部である。一方、逆流障害を受けた組織では、酸化ストレスと硫化物分解の亢進により、この保護機構が低下し、疾患進行を促す一連の変化が誘導されると考えられる。

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