背景
妊娠は、甲状腺に通常より大きな負荷がかかる特別な時期である。甲状腺ホルモンは、代謝、エネルギー利用、胎児発育の調節に関与し、とくに胎児が母体からのホルモン供給に依存する妊娠初期に重要である。このような要求の増加により、甲状腺機能検査は、定期的に実施されることもあれば、甲状腺疾患の本人または家族歴、自己免疫疾患、不妊、流産、あるいは甲状腺機能異常を示唆する症状などの危険因子がある場合に実施されることもある。
妊娠中には、比較的よくみられる所見が2つある。1つは潜在性甲状腺機能低下症で、甲状腺刺激ホルモン(Thyroid-Stimulating Hormone, TSH)は高値である一方、遊離サイロキシンは正常範囲内に保たれている状態を指す。もう1つは甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(Thyroid Peroxidase Antibodies, TPO抗体)で、ホルモン値が正常であっても自己免疫性の甲状腺病変を示唆する。両者を併せ持つ例もある。
