ハイライト
1. 複雑な大動脈瘤に対する分枝型/窓開設型EVAR(f/bEVAR)を受けた916人の患者を対象とした研究では、技術的成功率が93.6%を示した。
2. 全体の30日死亡率は7.4%(選択的治療では4.4%)、脊髄虚血は16%(選択的治療では12.7%)が発生した。
3. 5年生存率は82.6%に達したが、60ヶ月までの再介入からの自由度は40%にとどまった。
4. 緊急手術と胸腹部大動脈瘤では結果が悪かった一方、選択的治療では許容可能な合併症率が示された。
背景
内臓枝を含む複雑な大動脈瘤の治療には大きな課題がある。分枝型および窓開設型大動脈内ステントグラフト治療(f/bEVAR)は技術的に進化しているが、長期的なアウトカムは特に高頻度症例センターにおいて十分に明らかにされていない。本研究は、14年間にわたりカスタムメイドと市販のデバイスを使用した実世界データを提供し、重要な情報を得ている。
研究デザイン
本研究は2010年から2024年の間にf/bEVARを受けた916人の連続患者を対象とした後ろ向き単施設分析であり、STROBEガイドラインに従って行われた。対象者は選択的治療(79.2%)と緊急治療(20.8%)を含み、胸腹部大動脈瘤(TAAA)が53.7%、腎動脈近位大動脈瘤が33.4%を占めた。カスタムメイドデバイスが74.4%を占め、26%の症例で段階的治療が行われた。主要評価項目には技術的成功、30日死亡率/脊髄虚血、長期生存率/再介入率が含まれた。
主要な知見
技術的アウトカム
技術的成功率93.6%は、緊急手術(P<0.001)とTAAA type II(P=0.03)で有意に低かった。市販デバイスはカスタムソリューションと比較して成功率が低かった。
早期合併症
全体の30日死亡率は7.4%(選択的治療では4.4%)で、大動脈破裂(P=0.03)と強く関連していた。脊髄虚血は16%(選択的治療では12.7%)が発生し、永久的な両下肢麻痺は2.9%だった。脊髄虚血のリスクは大動脈破裂(P=0.009)と市販デバイス(P<0.001)で増加した。
長期的な結果
60ヶ月の生存率は82.6%(標準誤差1.9%)だった。コックス回帰分析では、年齢(P=0.002)、ASA≧4(P=0.02)、脊髄虚血(P<0.001)が死亡予測因子として同定された。大動脈関連死からの自由度は48ヶ月で89.2%だった。再介入は頻繁に行われ、60ヶ月時点で40%が自由であった(技術的成功率との関連性P<0.001)。
専門家コメント
これらの知見は、特に選択的治療設定において、f/bEVARが複雑な大動脈瘤の治療法として有効であることを確認している。選択的治療での永久的な両下肢麻痺率(2.3%)は開腹手術と比較して良好である。ただし、高い再介入率はデバイスの耐久性とフォローアッププロトコルの改善が必要であることを示唆している。単施設設計は汎用性に制限をもたらす可能性があるが、大規模なサンプルサイズと長期フォローアップは貴重な洞察を提供している。
結論
この実世界分析は、特に選択的治療の場合において、f/bEVARが複雑な大動脈瘤で良好な長期生存率を達成できることを示している。技術的成功率は高いが、再介入の頻度が高く、デバイスの改善の余地がある。これらの知見は高頻度症例センターでの集中治療を支持し、特に緊急手術における慎重な患者選択の重要性を強調している。
資金提供と登録
本研究は特定の外部資金提供なしで高頻度症例の大動脈治療センターで実施された。後ろ向き分析のため、clinicaltrials.govに登録されていない。

