ハイライト
このランダム化比較試験では、婦人泌尿器科手術後の術後1日に在宅で留置尿道カテーテルを早期抜去する方法は、術後3~4日に抜去する標準的な方法と比べて、術後尿閉率に関して非劣性であることが示された。両群とも患者満足度は高く、合併症も少なく、早期抜去が安全で患者にとって負担の少ない選択肢であることが示唆された。
研究背景
術後尿道カテーテル留置は、腹圧性尿失禁や骨盤臓器脱修復術などの婦人泌尿器科手術後に、十分な膀胱ドレナージを確保し、排尿機能を評価する目的で日常的に行われている。しかし、長時間の留置は尿路感染症(urinary tract infections, UTI)、不快感、患者満足度の低下といったリスクを高める。従来は、排尿試験で膀胱機能が確認されたのち、術後3~4日に外来でカテーテルを抜去する方法が一般的であった。より早期の抜去は感染リスクの低減と患者の快適性向上につながる可能性がある一方で、再留置を要する術後尿閉のリスク増加が懸念されていた。
先行研究では、術後3~4日に患者自身が自宅で尿道カテーテルを抜去する方法が、外来抜去に対して非劣性であり、満足度も高いことが示されていた。しかし、早期離床、安全性、患者体験のバランスを最適化する抜去時期は、なお確立されていなかった。
研究デザイン
本研究は、単施設、非盲検、ランダム化比較非劣性試験として、2024年6月から2025年9月まで実施された。腹圧性尿失禁および/または骨盤臓器脱の手術を受け、術後0日目の初回排尿試験に不合格であったシスジェンダー女性を対象に登録し、術後1日に自宅で早期抜去する群、または術後3~4日に標準的に抜去する群へ1:1で無作為割付した。既存の排尿障害がある患者、あるいは長期カテーテル留置が予定されている患者は除外した。
参加者には、割り当てられた術後日に午前7時にカテーテルを抜去し、水をコップ2杯飲み、5時間以内に排尿できない場合は外来での排尿試験を調整するためにクリニックへ連絡するよう、標準化された指示が与えられた。主要評価項目は、カテーテル抜去後6時間以内に排尿できず、継続的なカテーテル留置を要する状態として定義した持続性術後尿閉であった。
副次評価項目には、カテーテル抜去過程に対する患者満足度、尿路感染症率、合併症、ならびに患者メッセージ、電話、外来受診回数で定量化した医療利用を含めた。非劣性の統計解析は、尿閉率差の両側95%信頼区間と、あらかじめ設定した15%の非劣性マージンに基づいて行われた。その他の評価項目は、Wilcoxon順位和検定およびFisherの正確確率検定を用いて解析した。
主な結果
計128例が、早期抜去群(術後1日)と標準抜去群(術後3~4日)に均等に無作為割付された。ベースラインの患者背景は両群で同等であった。
主要評価項目では、術後尿閉の発生率は早期抜去群で14.1%、標準群で10.9%であった。尿閉率差は3.2%で、95%信頼区間は-8.3%~14.6%であり、事前に設定した15%の非劣性マージン内に収まっていた。この結果は、自宅での早期カテーテル抜去が、尿閉リスクに関して標準的な遅い抜去に対して非劣性であることを確認するものである。
腹圧性尿失禁手術を同時に受けた患者のサブグループ解析では、非劣性の判定は結論に至らず、これらの症例では複雑性が高い可能性が示され、さらなる検討が必要である。
患者経験に関しては、多くの患者がカテーテル抜去を「難しくなかった」と回答したが、その割合は早期群(72%)より標準群(86%)で高かった(p=0.045)。一方、全体的な満足度は両群とも高く、比較可能であり、早期群では82%、標準群では81%が「非常に満足」と回答した。
合併症率、尿路感染症、医療利用指標のいずれにおいても統計学的有意差は認められず、早期カテーテル抜去の安全性と実施可能性が裏付けられた。
専門家コメント
本研究は、婦人泌尿器科手術後のカテーテルをより早期に在宅で抜去することを支持する、臨床的意義の高いエビデンスを提供している。この方法は、尿閉を増やすことなくカテーテル関連リスクへの曝露を減らし得る。厳密な非劣性デザインにより、結果の妥当性はさらに強化されている。標準化された患者指導と明確なフォローアップ手順により、患者安全が適切に確保されていた点も評価できる。
本研究の強みは、無作為割付、十分なサンプルサイズ、ならびに尿閉、満足度、医療利用を含む臨床的に重要なアウトカムの包括的評価にある。限界としては、単施設であるため一般化可能性に制約があること、非盲検デザインであること、さらに複雑な追加手技を受けた患者のサブグループ結果が不確定であったことが挙げられる。
機序的には、早期のカテーテル抜去は、異物曝露時間を短縮することで感染リスクを下げつつ、膀胱機能のより迅速な回復を促進する可能性がある。ただし、複雑な手術を受けた患者や術前から排尿障害がある患者への適用には、慎重さが求められる。
結論
婦人泌尿器科手術後の術後1日における在宅での早期カテーテル抜去は、術後尿閉に関して術後3~4日の抜去に対して非劣性である。いずれの抜去時期でも、患者満足度は高く、合併症率は低かった。本エビデンスは、明確な指示とフォローアップ体制を整えたうえで、患者に早期カテーテル抜去の選択肢を提示することを支持する。今後の研究では、複雑な同時手技を受ける患者への適用可能性を検討する必要がある。
資金提供および臨床試験登録
資金源および臨床試験登録に関する詳細は、原著要約では提示されていなかった。
参考文献
Tholemeier L, Vanukuru T, Geng B, et al. Early patient removal of urinary catheters after urogynecologic surgery, a randomized trial. American Journal of Obstetrics and Gynecology. 2026 Jul 6. PMID: 42409155. Available at: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42409155/

