背景
心機能低下性心不全(HFrEF)に伴う左束枝ブロック(LBBB)は、約25-30%の心不全患者に影響を与え、重要な臨床的な課題となっています。心臓再同期療法(CRT)による両心室刺激(BiVP)は、症状と生存率の改善をもたらす標準的な治療法でしたが、伝導系刺激(CSP)、特に左束枝領域刺激が、より単純でコスト効果の高い代替療法として注目されていました。ただし、その比較効果はPhysioSync-HF試験まで証明されていませんでした。
研究デザイン
この多施設、非劣性無作為化臨床試験では、14のブラジルの病院(2022年11月-2023年12月)で173人の成人が登録されました。対象者はHFrEF(LVEF ≤35%)、NYHAクラスII-IIIの症状、およびLBBB(QRS ≥130ms)を持つことが必要でした。患者は1:1でCSP(左束枝領域刺激を優先)またはBiVPに無作為に割り付けられました。主要評価項目は、12ヶ月時の死亡、心不全入院、緊急心不全来院、およびLVEF変化の階層的複合エンドポイントで、非劣性マージンはOR 1.2でした。
主要な知見
CSPは非劣性を満たせず、BiVPに統計的に劣ることが示されました(OR 2.36;95% CI 1.37-4.06;p=0.002)。CSP群では:
- 死亡/心不全入院/緊急来院の複合エンドポイントが高かった(HR 2.35;95% CI 0.99-5.61)
- LVEFの改善が小さかった(平均差 -3.8%;95% CI 0.3-7.3%)
- QRS幅の短縮、症状スコア、バイオマーカーの減少は同等だった
- 手技費/心不全ケア費用が低かった($7,090の節約;95% CI $5,779-$8,648)
専門家のコメント
CSPはコスト面での利点があり、一部のCRTの利点を維持していましたが、硬いアウトカムにおいてBiVPに劣っていることから、構造的リモデリングにはBiVPが優れていることが示されました。リード配置の精度と手技の学習曲線が結果に影響を与えた可能性があります。CSPが特定のサブグループで再検討される場合は、患者選択基準の洗練が必要であることを示唆する試験結果です。
結論
PhysioSync-HFは、HFrEFに伴うLBBBに対するCSPを第一選択のCRT戦略として推奨しない決定的な証拠を提供しています。医師はコストが高くてもBiVPを優先すべきであり、CSP技術の最適化や潜在的な反応者サブグループの同定に関する研究は継続されるべきです。これらの知見は、デバイスを用いた心不全療法に関する現在のガイドライン勧告に直接影響を与えます。

