研究背景と疾患負担
肥満は世界的な重要な公衆衛生問題であり、特に高齢者における問題が深刻化しています。肥満は年齢関連の代謝調節と身体機能の低下を悪化させ、虚弱、2型糖尿病、心血管疾患、障害のリスクを増大させます。肥満高齢者は過剰な脂肪組織と年齢関連の筋肉量減少(サルコペニア)の相乗効果により、機能障害が加速し、生活の質が損なわれます。カロリー制限と運動介入を組み合わせた体重減少がこれらの合併症を緩和するために広く推奨されていますが、特定の運動モダリティ―すなわち有酸素運動(AEX)、筋力トレーニング(REX)、またはその組み合わせ(COMB)―がこの集団におけるインスリン分泌、神経栄養因子、および合成代謝シグナルに与える具体的な影響はまだ完全には理解されていません。
新興の証拠は、ライフスタイル療法によって誘導される代謝改善が、セマフォリン神経栄養因子(CNTF)およびその受容体(CNTFRα)、インスリン様成長因子-1(IGF-1)などの因子によって介在する可能性があることを示唆しています。CNTFは神経保護とエネルギー恒常性に関与するサイトカインであり、IGF-1は筋肉の健康とインスリン感受性に重要な合成プロセスをサポートします。肥満と虚弱のある高齢者が体重減少時にこれらのメディエーターがどのように反応するかを解明することは、治療介入を最適化するためのメカニズム的な洞察を提供することができます。
研究デザイン
この無作為化比較試験では、肥満高齢者160名(詳細な基準はここでは省略)を4つのグループに割り付けました:有酸素運動(AEX)、筋力トレーニング(REX)、有酸素運動と筋力トレーニングの組み合わせ(COMB)、または食事制限のみで体重減少を目指す対照群(約6ヶ月で体重量の約10%削減)。主な評価項目には、身体構成(デュアルエネルギーX線吸収計測法による中心部脂肪と四肢の細胞外間質)の変化、酵素連鎖免疫吸着測定法(ELISA)による血漿CNTF、CNTFRα、IGF-1のレベル、ホメオスタシスモデル評価(HOMA-IR)および処置指数(DI)を用いたインスリン感受性と分泌の指標(経口ブドウ糖耐性試験)が含まれました。
さらに、広背筋から採取した筋肉生検サンプルを定量的ポリマー鎖反応(qPCR)を用いてCNTFおよびCNTFRαの遺伝子発現レベルを分析しました。身体機能評価には、身体パフォーマンステスト(PPT)、筋力測定、最大酸素摂取量(VO2peak)が含まれました。磁気共鳴画像法(MRI)を用いて体脂肪量(内臓脂肪および筋間脂肪体積)を定量しました。血漿アディポキネ、レプチンおよびアディポネクチンも測定されました。段階的重回帰分析により、代謝と機能の変化の予測因子が同定されました。
主要な知見
介入は運動モダリティ間で異なる効果をもたらしました。AEXとCOMB群は他のグループよりも中心部脂肪質量の有意な減少を示しました(p=0.001)、これは有酸素運動成分が脂肪減少に効果的であることを示しています。逆に、四肢の細胞外間質を表す末梢筋肉量は、REX群でよりよく維持され(p=0.001)、これは筋力トレーニングが体重減少時の筋肉維持に役立つことを反映しています。
HOMA-IRで測定されたインスリン感受性は、COMB群で単独のAEXまたはREXよりも有意に改善しました(p<0.001)、これは組み合わせ運動がインスリン抵抗性に対する相乗効果を示していることを示しています。処置指数(インスリン感受性に調整されたインスリン分泌を評価)は、対照群と比較してCOMB群で有意に改善しました(p=0.04)、これは組み合わせ運動による膵β細胞機能の向上を強調しています。
予期せず、血漿CNTFレベルはすべての運動介入群で対照群と比較して低下しました(p<0.001)。しかし、COMB群のみが血中CNTFRαレベルを維持し(p=0.003)、CNTF/CNTFRα比が最も顕著に減少しました―これは代謝調節に関連するリガンド-レセプター動態の変化を反映している可能性があります。特に、広背筋のCNTFおよびCNTFRαの筋肉遺伝子発現はグループ間で有意な違いを示さなかったことから、全身的な而非局所的な筋肉調節が示唆されます。
IGF-1レベルは、REXとCOMB介入で有意に上昇しました(p=0.004)、これは筋力トレーニングの合成効果と組み合わせ運動の包括的な利点を示しています。回帰分析の結果、内臓脂肪体積の減少と血漿レプチンが共同で血漿CNTF変動のほぼ半分(49.6%)を占めていることが示されました(p<0.009)、これは肥満関連のシグナルがCNTF調節に関連していることを示しています。
重要的是,CNTFRα水平的变化成为胰岛素分泌改善的关键预测因子,解释了其变异性的38.3%,并与肌间脂肪的变化一起(p=0.004)。此外,CNTFRα变化、肌间脂肪、肌肉力量、VO2peak以及IGF-1的变化共同贡献了PPT评估的身体功能改善变异性的61.2%(p=0.03)。这些发现支持CNTFRα和IGF-1通路在介导生活方式干预的代谢和功能益处中的核心作用。
专家评论
这项全面的试验提供了令人信服的证据,表明将有氧运动和抗阻运动与饮食引起的体重减轻相结合,在肥胖和虚弱的老年人中可以带来更优的代谢参数和身体功能改善。循环CNTFRα的维持和IGF-1水平的提高突出了潜在负责这些益处的机制途径。尽管CNTF水平下降,但受体的维持相关性表明了复杂的调节机制,而不仅仅是简单的配体浓度效应。
肌肉CNTF和CNTFRα基因表达没有差异的事实表明,除了骨骼肌或系统性调节之外,其他外周组织可能至关重要,值得进一步探索。脂肪组织减少(内脏和肌间)与神经营养因子和生长因子的变化之间的强烈关联强调了脂肪库、炎症和代谢信号之间的复杂相互作用。
局限性包括研究对象仅限于肥胖和虚弱的老年人,这可能限制了对年轻人群或无虚弱者的推广。为期六个月的研究提供了有价值的中期见解,但长期可持续性的问题仍然存在。未来的研究应旨在确认CNTF/CNTFRα途径的因果关系,并探讨针对这些因素的治疗潜力。
结论
在饮食引起的体重减轻期间结合有氧运动和抗阻运动是改善肥胖高龄者的胰岛素分泌、胰岛素敏感性和身体功能的最佳策略。循环CNTFRα的维持和IGF-1的增加似乎是支持这些益处的重要机制联系。这些发现推进了对生活方式疗法中驱动有利结果的生物介质的理解,并支持综合运动处方以优化这一脆弱人群的健康。
参考文献
Colleluori G, Viola V, Bathina S, Armamento-Villareal R, Qualls C, Giordano A, Villareal DT. Effect of aerobic or resistance exercise, or both on insulin secretion, ciliary neurotrophic factor, and insulin-like growth factor-1 in dieting older adults with obesity. Clin Nutr. 2025 Aug;51:50-62. doi: 10.1016/j.clnu.2025.05.016. Epub 2025 May 28. PMID: 40527119; PMCID: PMC12241963.
追加文献:
– Villareal DT, et al. Weight loss and exercise in obese older adults. JAMA. 2011;306(13):1346-1354.
– Kuk JL, et al. Resistance training improves insulin sensitivity in older adults: A randomized controlled trial. Ageing Res Rev. 2020;62:101121.
– Bathina S, et al. Role of CNTF and related pathways in obesity and metabolic disease. Neurobiol Dis. 2022;167:105667.