B群連鎖球菌に対する免疫強化:健康成人における新規6価結合ワクチンブースターの安全性と有効性

B群連鎖球菌に対する免疫強化:健康成人における新規6価結合ワクチンブースターの安全性と有効性

ハイライト

  • 初回接種後約2年後にGBS6の単回ブースター接種は、非妊の健康成人において良好に耐容され、安全性が確認されました。
  • ブースター接種は、血清型特異的なIgG抗体応答を強力に誘導し、初回接種後の応答を大幅に上回りました。
  • 初回接種後2年間で抗体レベルは低下しましたが、基準値を上回るレベルを維持しており、反応の持続性を示しています。
  • これらの知見は、新生児を侵襲性B群連鎖球菌疾患から保護することを目指す母体免疫化のブースター戦略の基礎を提供します。

研究背景

B群連鎖球菌(GBS)は、新生児における侵襲性細菌感染症の主要な原因であり、敗血症、肺炎、髄膜炎を含む疾患を引き起こします。胎盤を介した抗体移行を誘導する母体免疫化は、新生児が脆弱な早期生活期を保護する有望な戦略です。新規6価GBS多糖類結合ワクチン(GBS6)は、6つの疫学的に主要な血清型を対象とし、妊娠中の女性に接種することで新生児の侵襲性疾患を予防することを目指しています。前期第1/2相試験では、GBS6の初期の安全性と免疫原性が健康な非妊成人において示されています。妊娠の繰り返しと、次々と続く妊娠中に母体抗体を維持または強化する潜在的な必要性を考えると、成人におけるブースター接種の安全性と免疫応答を評価することは、接種スケジュールの決定に重要な役割を果たします。

研究デザイン

この第2相、オープンラベル延長試験は、米国の4つのサイトで実施され、18歳から49歳までの健康成人を対象としました。これらの参加者は、前期第1/2相試験(ClinicalTrials.gov NCT04258995)の約2年前に6つのGBS6フォーミュレーションのいずれかの初回接種を受けたことがあります。参加者には、各血清型あたり20 μgのカプセル多糖類を含むGBS6の単回ブースター接種が行われ、アルミニウムリン酸塩(AlPO4)アジュバントを含むか含まないかにより、当初のワクチンフォーミュレーションに一致して投与されました。

主要エンドポイントとして、ブースター接種後14日以内の求める局所反応と全身イベント、1ヶ月以内の副作用(AE)、6ヶ月以内の未求める重篤な副作用(SAE)または医療機関での副作用(MAE)を評価しました。二次免疫原性評価として、ブースター接種前後1ヶ月の血清型特異的なIgG幾何平均濃度(GMC)と幾何平均上昇倍率(GMFR)を測定しました。

主要な知見

ベーススタディを完了した297人の参加者のうち、151人がブースター接種を受け(76人がAlPO4を含み、75人が含まない)、安全性を分析しました。参加者の大半は女性(75%)で、白人(83%)が多く、平均年齢は36.7歳でした。

安全性プロファイル:
注射部位の痛みが最も一般的な局所反応で、アジュバント群では68%、非アジュバント群では43%の参加者で観察されました。重度の痛みはまれで、アジュバント群の3%のみが報告しました。全身イベント(主に軽度から中等度)は両群で頻度が同等でした(AlPO4群59%、非AlPO4群61%)。未求める副作用は頻度が低く、フォーミュレーション間で比較可能でした(14% vs 16%)。ワクチンに関連する重篤な副作用はありませんでした。熱傷による1件のSAEが報告されましたが、ワクチン接種とは無関係でした。医療機関での副作用は低く、両群間でバランスが取れていました。

免疫原性:
初回接種後2年間で血清型特異的な抗カプセル多糖類(CPS)IgG濃度は低下しましたが、初回接種前の基準値を上回るレベルを維持していました。ブースター接種後、抗体レベルは著しく上昇し、1ヶ月後のGMCは6.025〜60.304 μg/mLとなり、初回接種後よりも2〜18倍高くなりました。GMFRは全血清型およびフォーミュレーションで、ブースター接種前のレベルに対して約10〜59倍の範囲でした。これは強力な再応答を示しており、AlPO4アジュバントの有無に関わらず一貫していました。

専門家のコメント

GBS6ブースター接種の観察された安全性と強力な免疫原性は、母体接種プログラムにとって好ましい結果です。初回接種によって誘導された免疫記憶は効果的に呼び戻され、保護抗体レベルが大幅に増幅され、これが受動移行を通じて新生児の免疫を強化する可能性があります。耐容性プロファイルは、結合ワクチンに特徴的な軽度から中等度の反応原性に一致しており、長期追跡調査でも新たな安全性シグナルは見られませんでした。

複数回の妊娠中に高い母体抗体レベルを維持することは重要な考慮事項であり、これらのデータは、新生児の保護を最適化するために計画的なブースター接種が有用であることを示唆しています。ただし、妊娠中の女性を直接対象とした臨床試験が必要です。また、異なる基線免疫を持つ集団におけるブースター接種の最適なタイミングと頻度を明確にするために、さらなる調査が必要です。

結論

本研究は、健康で非妊の成人において、初回接種後約2年後にGBS6の単回ブースター接種が安全であり、初回接種後に達成されたレベルを超える血清型特異的なIgG抗体濃度を大幅に向上させることを示しました。母体抗体が新生児の侵襲性GBS疾患を予防する上で重要な役割を果たすことから、これらの知見は母体免疫化のブースター接種戦略の開発を支持しています。今後の研究では、妊娠中のブースター接種の評価と、新生児GBS疾患予防への長期的な影響の確定に焦点を当てるべきです。

資金提供と臨床試験登録

本研究は、Pfizerによって資金提供されました。試験はClinicalTrials.govにNCT04258995の識別子で登録されています。

参考文献

Jongihlati B, Segall N, Block SL, et al. Safety and immunogenicity of a booster dose of a novel hexavalent group B streptococcus conjugate vaccine in healthy, non-pregnant adults: a phase 2, open-label extension of a phase 1/2 randomised controlled trial. Lancet Infect Dis. 2025 Oct;25(10):1138-1148. doi:10.1016/S1473-3099(25)00216-6. Epub 2025 Jun 13. PMID: 40523378.

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