小肝細胞癌に対する手術と高周波焼成術:SURF-RCTおよびSURF-Cohort試験からの洞察

小肝細胞癌に対する手術と高周波焼成術:SURF-RCTおよびSURF-Cohort試験からの洞察

ハイライト

  • SURF-RCTは、小肝細胞癌(HCC)に対する手術と高周波焼成術(RFA)を直接比較する最大規模の無作為化対照試験です。
  • 5年間の全生存率や再発なし生存率に有意な差は見られませんでした。
  • 重篤な副作用は手術でより多く見られましたが、両方の治療法は全体的に安全で効果的でした。
  • これらの結果は、RFAを手術の代替手段として最小侵襲的な第一選択肢として支持しています。

研究背景と疾患負荷

肝細胞癌(HCC)は最も一般的な原発性肝臓悪性腫瘍であり、世界中でがん関連死亡の主な原因となっています。早期HCC(通常は直径3cm以下、最大3個の結節)は、根治的介入の機会を提供します。外科的手術切除と経皮的アブレーション、特に高周波焼成術(RFA)が主要な根治的治療法ですが、最適な第一選択療法、特に小さな単一腫瘍の場合には、依然として議論の余地があります。手術は伝統的に金標準とされていますが、RFAは侵襲性が低く、特に肝機能が低下している患者では耐容性が高いため、利点があります。以前の研究は、回顧的デザイン、選択バイアス、またはサンプルサイズの不足により制限されており、堅固な証拠の必要性が強調されています。

研究デザイン

SURF-RCT(Surgery versus Radiofrequency ablation For small hepatocellular carcinoma – Randomized Controlled Trial)は、2009年から2015年にかけて49の日本の機関で実施されました。対象者は、最大径3cm以下、最大3つのHCC結節、主要血管侵襲や肝外転移のない成人HCC患者でした。患者は手術またはRFAに無作為に割り付けられ、主要評価項目は全生存率(OS)と再発なし生存率(RFS)でした。

同時に、主要試験に参加資格があるが無作為化を拒否した患者は、非無作為化前向き観察コホート(SURF-Cohort)に登録され、患者や医師の選好に基づいて手術またはRFAに割り付けられました。このデザインは、無作為化された臨床状況と現実の臨床状況の両方での有効性を評価することができます。

主要な知見

SURF-RCTの結果
合計302人の患者が無作為に割り付けられました(手術 n = 150、RFA n = 152)。ベースライン集団は良好にバランスが取れており、90%が単一のHCCを持ち、約65%が腫瘍径2cm以下の患者でした。中央値フォローアップ期間は指定されていませんが、5年間の結果が報告されました。

– 5年間の全生存率(OS):
– 手術: 74.6%
– RFA: 70.4%
– ハザード比(HR): 0.96(調整後 P = .84)

– 5年間の再発なし生存率(RFS):
– 手術: 42.9%
– RFA: 42.7%
– HR: 0.90(調整後 P = .84)

2つのグループ間でOSやRFSに統計学的に有意な差は見られませんでした。

– 重篤な副作用は、手術を受けた患者の3.3%に見られ、RFAグループでは見られませんでした。

再発時には、両グループの大多数の患者が二次介入としてRFAを受け、少数が再切除を受けました。

SURF-Cohortの結果
非無作為化コホートの753人の患者(手術 n = 382、RFA n = 371)において、ベースライン特性はRCTよりも多様でした。治療割り付けの逆確率加重(IPTW)により混雑因子を調整した後、グループ間でOS(P = .77)やRFS(P = .08)に有意な差は見られませんでした。

安全性と再発パターン
手術は効果的でしたが、重篤な合併症のリスクが高かったものの、全体的な頻度は低く抑えられていました。RFAは合併症が少なく、安全性が確認されました。両グループとも、ほとんどの再発はさらにRFAで管理されました。

比較表:SURF-RCTの主要結果

アウトカム 手術 RFA ハザード比 P値
5年間のOS 74.6% 70.4% 0.96 0.84
5年間のRFS 42.9% 42.7% 0.90 0.84
重篤なAE 3.3% 0%

専門家のコメント

SURF-RCTとSURF-Cohort試験は、小HCCの管理に関する決定的な高品質な証拠を提供しています。堅固なデザイン、大規模なサンプルサイズ、および現実のコホートが、結果の一般化可能性を高めています。これらのデータは、アメリカ肝臓学会(AASLD)などの最近のガイドラインの傾向と一致しており、早期段階の腫瘍に対して手術の代替手段としてアブレーションをますます支持しています。

ただし、いくつかのニュアンスを考慮する必要があります:
– 患者の大多数が単一で小さな(<2cm)腫瘍を持っており、結果が大きなまたは多発性の疾患に完全に適用されるわけではないかもしれません。
– 長期的な肝機能の維持、患者の併存疾患、リソースの可用性が個々の治療決定を導きます。
– 手術の重篤な副作用の高い頻度は、適合候補者における最小侵襲的アプローチの価値を強調しています。

さらなる研究は、限られた肝機能や主要血管に近接する腫瘍を持つサブ集団の結果を解明し、新興アブレーション技術の役割を探索することができます。

結論

SURF-RCTとSURF-Cohort試験は、小HCC(3cm以下、3個以下の結節)の大部分が単一の腫瘍である場合、手術とRFAが同等の長期生存率と再発率を示すことを明確に示しています。重篤な合併症のリスクが低く、最小侵襲的なため、RFAは手術とともに第一選択肢として認識されるべきです。患者の好み、併存疾患、機関の専門知識を考慮した個別化された治療計画が重要です。

参考文献

Kawaguchi Y, Hasegawa K, Kashiwabara K, Okamura Y, Kurosaki M, Kudo M, Shimada M, Yamanaka N, Inomata M, Yamashita T, Tateishi R, Shiina S, Fujishiro M, Matsuyama Y, Omata M, Kokudo N. Surgery Versus Ablation for Hepatocellular Carcinoma: A Randomized Controlled Trial (SURF-RCT Trial) and a Nonrandomized Prospective Observational Trial (SURF-Cohort Trial). J Clin Oncol. 2025 Aug 10;43(23):2628-2638. doi: 10.1200/JCO-24-02030. PMID: 40554738.

American Association for the Study of Liver Diseases (AASLD) Practice Guidance: Management of Hepatocellular Carcinoma. Hepatology. 2023;78(1):1-32.

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