筋力トレーニングにおける16:8時間制限摂食:短い摂食ウィンドウで筋肉をつけることは可能か?

筋力トレーニングにおける16:8時間制限摂食:短い摂食ウィンドウで筋肉をつけることは可能か?

ハイライト

  • 高カロリーの16:8時間制限摂食(TRE)は、筋力トレーニング中の筋肉と筋力の増加を全日の摂食と同等に達成できます。
  • TREグループは、コントロールグループと比較して総訓練量とスクワット強度の改善が少なかった。
  • TREは脂肪量の増加を抑制しながら、非脂肪質量の増加は同様でした。
  • 気分や睡眠に悪影響はありませんでした。

研究の背景と疾患負担

時間制限摂食(TRE)は、1日の摂取カロリーを特定の時間帯に制限する断続的絶食の一種で、体重管理や代謝健康のために人気があります。しかし、特に訓練された個人における筋肉量と筋力の最大化(特に高カロリー条件下での筋肉増強)に対するその有効性と実用性は不確かなままです。アスリートやレクリエーションのウェイトリフターにとって、筋力トレーニング中にTREの影響を理解することは臨床的にも実践的に重要です。

研究デザイン

このランダム化比較試験では、17人の健康で訓練された男性(n=10)と女性(n=7)が参加しました。参加者は以下のいずれかに無作為に割り付けられました:

  • TREグループ:運動後1時間以上から8時間の窓内ですべてのカロリーを摂取(16:8 TRE)
  • FEDグループ:1日に同じ数のカロリーを分散して摂取

両グループとも10%高カロリー、高たんぱく質の食事(1日あたり2.2 g/kg)を摂取し、週4回の監督下での進行的な筋力トレーニングを8週間行いました。主要評価項目には、筋力(1RM)、筋持久力、体組成(非脂肪質量と脂肪質量)、総運動量、主観的なエネルギー、気分、睡眠の評価が含まれました。

主要な知見

食事とトレーニングの遵守
両グループは、カロリー、たんぱく質、炭水化物、脂質の摂取量がほぼ同一であり、観察された効果はマクロ栄養素やエネルギーの違いではなく摂食窓によるものであることが確認されました。TREグループの平均摂食窓は7.9 ± 0.1時間、FEDグループは13.2 ± 0.6時間(p<0.001)でした。

運動量とエネルギーレベル
介入期間中の総反復回数は、TREグループ(6,960 ± 287)がFEDグループ(7,334 ± 289)よりも少なかったことから、圧縮された摂食窓が訓練能力に若干の影響を与えた可能性があります。また、TREグループの主観的な日常エネルギー評価は4週目(-1.41; p=0.04)と8週目(-1.04; p=0.06)で低下傾向にあり、認識されるエネルギーに若干の低下が見られました。

筋力と筋肉の増加
両グループとも上半身と下半身の運動の最大筋力(1RM)と筋持久力が向上しました。しかし、スクワット1RMの増加はTREグループで4.0 ± 1.9 kg(p=0.05)低いという統計的に有意な差が見られ、下肢の筋力重視のアスリートにとっては意味のある差となりました。非脂肪質量の増加は両グループで類似しており(TRE:+2.67 kg; FED:+1.82 kg; p=0.04)、高カロリー、高たんぱく質条件下でのTREの筋肥大の可能性を示しています。

脂肪量と体組成
両グループの脂肪量は増加しましたが、TREグループでは有意に少ない増加が見られました。FEDグループは1.4 ± 0.6 kg(p=0.04)多く脂肪量が増加したため、バルキングフェーズ中の脂肪増加を最小限に抑えたい場合、TREには潜在的な体組成上の利点があると考えられます。

主観的な幸福感と睡眠
気分と睡眠の評価は両グループで安定しており、8週間の期間中、どちらのプログラムもこれらの重要な回復要因に悪影響を及ぼさなかったことを示しています。

専門家のコメント

本研究は、食事タイミング、カロリー過剰、および筋力トレーニング適応の相互作用についての理解を深めています。16:8時間制限摂食は筋肉量や上半身の筋力の増加を妨げませんが、総訓練量やスクワット強度の若干の減少は考慮する必要があります。特に高訓練量のアスリートや最大限の下肢の筋力増強を目指す人にとっては重要です。TREによる脂肪量の増加の抑制は注目に値し、筋肉の質感を最適化したいフィジークアスリートや他の人々にとって潜在的な利点があります。ただし、主観的な日常エネルギーの減少は、特に長期にわたる場合、訓練の動機づけやパフォーマンスに影響を与える可能性があるため注意が必要です。

メカニズム的には、運動との関係での栄養摂取のタイミングが筋タンパク合成や訓練出力を影響する可能性がありますが、両グループの高たんぱく質摂取によりネガティブな影響が軽減された可能性があります。これらの知見は、筋肥大において全体的なエネルギーとたんぱく質摂取がより重要であるという新興文献と一致していますが、パフォーマンス変数に影響を与える可能性もあります。

結論

高カロリーの16:8時間制限摂食プロトコルは、蛋白質とカロリー目標を満たせば、筋肉と筋力の増加を目指す訓練された個人にとって実現可能です。このプログラムは総訓練量や下肢の筋力の改善を若干減少させる可能性がありますが、筋肥大トレーニング中の脂肪増加を抑制する利点があります。これらのトレードオフは、個人の目標やライフスタイルの好みに基づいて評価する必要があります。今後の研究では、より大規模なコホートと長期の追跡調査が必要です。

参考文献

Blake DT, Hamane C, Pacheco C, Henselmans M, Tinsley GM, Costa P, Coburn JW, Campidell T, Galpin AJ. Hypercaloric 16:8 time-restricted eating during 8 weeks of resistance exercise in well-trained men and women. J Int Soc Sports Nutr. 2025 Dec;22(1):2492184. doi: 10.1080/15502783.2025.2492184 IF: 3.9 Q1 .

PDF (874.5 KB)
Jamshed H, Beyl RA, Della Manna DL, Yang ES, Ravussin E, Peterson CM. Early Time-Restricted Feeding Improves 24-Hour Glucose Levels and Affects Markers of the Circadian Clock, Aging, and Autophagy in Humans. Nutrients. 2019;11(6):1234.
Tinsley GM, La Bounty PM. Effects of intermittent fasting on body composition and clinical health markers in humans. Nutr Rev. 2015;73(10):661-674.

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